ノイズフィルタ付きレールスプリッタ基板

ヘッドホンアンプの電源にはノイズの少ないシリーズ電源を使うのが音質面で理想的ですが、シリーズ電源にはコストとサイズが大きいという欠点があります。そこで、市販のスイッチングACアダプタのノイズを除去しつつ、両電源を作る基板を制作しました。

回路構成

ノイズフィルタ付きレールスプリッタの回路図
回路図

オレンジ色の部分がノイズフィルタで、青色の部分がレールスプリッタ(単電源から両電源を作る回路)です。入力端子にスイッチングACアダプタを接続して使用します。

スイッチング電源で生じる2種類のノイズ

スイッチング電源では、スパイクノイズとリプルノイズという2種類のノイズが発生します。スパイクノイズはコモンモードで、リプルノイズはノーマルモードです。従って、ノイズフィルタにはコモンモードフィルタとノーマルモードフィルタの2種類のフィルタを搭載する必要があります。

ノイズフィルタ部

T1はAC電源用のコモンモードチョークコイルで、基本的にはコモンモードフィルタとして機能します。しかし、漏れ磁束によりノーマルモードに対してもインダクタンスが発生するため、コンデンサC2との間でローパスフィルタが形成されます。結果的に、T1とC2はコモンモードフィルタとノーマルモードフィルタの両方の役割を果たします。今回はDC電源の回路ですが、あえて漏れ磁束の大きいAC電源用のコモンモードチョークコイルを使用しました。

さらに、3端子レギュレータIC(LM317)によりリプルノイズを低減しています。

レールスプリッタ部

中点電位の生成にはTLE2426というレールスプリッタICを使うのが簡単ですが、このICは最大出力電流が20mAと小さくヘッドホンアンプの電源に使うには少し心許ありません。そこで今回はTLE2426の内部回路と同じような構成の回路をオペアンプICとバッファICを使って構成しました。

まず、ノイズフィルタ出力をR4とR5で分圧し中点電位を作っています。抵抗分圧だけでは負荷変動によって中点電位が変動してしまうため、オペアンプ(NJM4580MD)とバッファIC(LME49600)でバッファします。LME49600の最大出力電流は250mA程度ですから、TLE2426の10倍以上の電流をGNDに流すことができます。

なお帰還ループ内にバッファICを入れている分、発振しやすくなっているため、R6とR7で帰還率を下げています。

制作

コモンモードチョークコイルは、PanasonicのELF21N027Aを使用しました。

基板をKiCadで設計し、FusionPCBに発注しました。

基板パターン
基板パターン
ノイズフィルタ付きレールスプリッタ基板
組み上がった基板

測定結果

入力端子にスイッチングACアダプタ(STD-24010U)を接続し、Picoscope2240Aを用いて測定を行いました。入力端子電圧と出力端子電圧(+V -V間)のスペクトルを以下に示します。

入力電圧のスペクトル
入力電圧のスペクトル
出力電圧のスペクトル
出力電圧のスペクトル

入力電圧のスペクトルの20kHz程度の所にあるピークとその高調波がリプルノイズだと考えられます。出力電圧ではこのリプルノイズが抑えられているのが確認できます。一方、ICや抵抗器で生じた雑音により、ノイズフロアは若干悪化しています。

なお、コモンモードノイズはPicoscopeでは観測できない周波数で発生するため残念ながら評価できていません。

参考

  1. 村田製作所「ノイズ対策の基礎 第14回」
  2. 「トランジスタ技術2011年12月号」(CQ出版)p.110~p.111

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