この記事は、筆者が学部2年の頃、電磁気学Ⅲの講義でレポートとして書いたものに修正を加えたものです。かなり単純化したモデルを用いていますが、ハードディスクに眠らせておくのも勿体無いのでこのブログで公開して置こうと思います。

1.目的

日本の国土の約52%は豪雪地帯であり、雪崩による被害が頻繁に発生している。豪雪地帯では雪崩予防工や雪崩防護工が設置されていることが多い。これらの設備の性能が必要十分であるかを実験により評価することは難しいため、シミュレーションにより評価する必要がある。本報告書では、単純化した雪崩モデルをシミュレーションする。

2.方法

図1のように仰角$θ$の斜面に一様につもった雪がある点( $x=0$[m]) から次々と積み重なって落ちる点発生単純化雪崩モデルについて前進オイラー法を用いてExcelでシミュレーションする。

単純化雪崩モデル
単純化雪崩モデル

斜面の単位長さあたりの質量を$ρ$[kg/m]とすると、運動している雪塊の質量は$ρx$[kg]となる。雪崩発生から$t$秒後の雪塊の速度を$v$[m/s]とし、すべり面の摩擦が十分小さければ雪塊の運動方程式は下式で表される。

$$\frac{ \mathrm{d} (ρx(t)・v(t))}{ \mathrm{d} t}=ρx(t)・g\sin θ$$

これを時間について離散化すると下式となる。

$$\frac{ρx_{i+1}・v_{i+1}-ρx_{i}・v_{i}}{Δt}=ρx_{i}・g\sin θ$$

ただし、$x_{i}$と$v_{i}$は下式の通りである。

$x_{i}=x(iΔt)$, $v_{i}=v(iΔt)$ ただし$i$は自然数

さらに、$v_{i}$を時間について差分をとり、整理すると下式のように表せる。

$$x_{i+2}=x_{i+1}+x_{i}-\frac{x_{i}^{2}}{x_{i+1}}+\frac{Δt^{2}x_{i}g\sin θ}{x_{i+1}}$$

表1に今回設定したシミュレーション諸元を示す。

表1.シミュレーション諸元

3.結果

図2に位置 $x$のシミュレーョン結果 を示す 。また 、図3 に位置$x$のシミュレーョン 結果 から 求めた v-tグラフ 示す 。

4.考察

v-tグラフが線形になっていることから、雪塊は等加速度運動をしていることが分かる。実際の雪崩の規模は大小様々であるが、大規模なものの場合、走路長は数千m程度である。図2および図3を見ると、位置が1000mに達した時間における雪塊の速度は仰角30°の場合では50m/s程度となり、仰角45°の場合では70m/s程度となっていることが分かる。実際の雪崩の最高速度は50m/s程度であるから、走路長が1000m以下であれば概ね近い値をシミュレーション出来ていると考えられる。しかし、今回の単純化したモデルでは、時間経過につれて際限なく速度が上昇していくこととなり、実際の雪崩現象と合致しない。より正確にシミュレーションするためには以下に挙げる改善を行う必要があると考えられる。

  • 摩擦を考慮する。
  • 仰角$θ$を定数ではなく位置の関数として表す。
  • 雪塊を質点ではなく連続体としてモデル化する。
  • 3次元でモデル化する。

5.おまけ(追記)

アイキャッチ画像は2月中旬に撮影した白毛門(しらがもん/ 1720m)の写真です。大きい雪庇が成長していて今にも崩れそう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。